障がいをもった人で一般就労を目指せる就労移行支援っていい制度だよね
でも「就労移行支援はひどい」って聞いたことがあるわ。どうしてなんだろ?
就労移行支援がひどいといわれているのは確か。
今回は、「ひどい、意味がないと言われる理由や質の高い事業所を選ぶコツを紹介します。
以下のような方におすすめ。
- 就労移行支援がどうして「ひどい」って言われることがあるの?
- 就労移行支援の実態を知りたい
- 良い就労移行支援を選ぶポイントを教えて欲しい
記事のポイントは次の通り。
- ”収益を重視””訓練内容が合わない”といった理由で就労移行支援は「ひどい」と言われる
- 質の高い事業所には”支援と運営のバランスがよい”といった特徴がある
- 質の高い事業所を選ぶために”情報収集”や”見学や体験”といった工夫が必要
質の高い就労移行支援を選んで、希望を叶えていきましょう!
就労移行支援がひどい、意味ないと言われる4つの理由
就労移行支援について「ひどい」という評価が散見されている理由が気になりますね。
詳しくみていきましょう。
収益のみを見ている事業所が存在
収益のみを重視している事業所が通所を無理強いしたり、就職を急がせたりしている。
就労移行支援の実態として”収益のみを重視”している事業所があります。
就労移行支援事業所の収益は利用者の『就職定着率(就労後6ヶ月以上継続勤務)』で算定されます。
問題なのが”無理に通所をさせて就職に繋げる””就職を急がせたり”といった実態。
利用者の体調とかペースがあるんだけどね
「一人でも多く通所させて、早く就職に結びつける」といった収益を求めすぎる方針が、利用者への支援をないがしろにしています。
支援のあり方に不満を感じる
支援員ととの関係作りや支援内容の合わなさは大きなストレスにもなりますね
利用者の希望と訓練内容があっていない
利用者の希望と訓練内容が合わず、「簡単すぎてためにならない」といったミスマッチが起こる場合があります。
就労移行支援の利用対象者は次の通りです。
- 65歳未満の
- 障がいや難病のある(障害者手帳が必須ではない)
- 一般就労を希望している
対象者は意外と幅広いのね
利用対象者の幅が広く、一つの就労移行支援に様々な人が集まることも少なくありません。
一般就労の経験がある人にとっては訓練内容が簡単すぎる、逆に難しく感じて通所しなくなる人も。
希望と訓練内容が合っていないことに「意味がない」と感じる人もいるようです。
支援員の専門知識が乏しい
職業指導員や生活支援員といった職員の専門知識が乏しく、適切な支援を受けられないことに不満を感じる利用者もいます。
就労移行支援には次のような職員が支援を行います。
- サービス管理責任者
- 職業指導員
- 就労支援員
- 生活支援員
サービス管理責任者になるためには一定の資格や実務経験、講座の受講といった要件があります。
しかし、”職業指導員””就労支援員””生活支援員”として勤務するために特別な要件はありません。
もちろん関連する資格をもっているスタッフさんもいるんんだけど
資格や専門知識をもっていないと、適切な接し方や支援方法がとれずトラブルになる事例も。
職員のスキルや対応によっては「ひどい」と感じてしまいます。
支援しやすい障がいの利用者しか受け入れない
重い障害や対応の難しい方の利用を拒否し、支援しやすい利用者しか受け入れない。
本来、障がいや難病を抱える方を広く受け入れて支援する制度です。
- 身体障がい(視覚、聴覚、音声言語、肢体、内部の障がい等)
- 知的障がい
- 精神障がい(統合失調症、うつ病、双極性障害、てんかん等)
- 発達障がい(自閉症スペクトラム、ADHD、学習障害等)
- 難病(パーキンソン病、ハンチントン病、亜急性硬化性全脳炎等)
ですが、障がいや難病によっては対応が難しく、なかなか就労に繋げられないことがあります。
就労に繋がらないと事業所としての報酬ももらえないんだよね
効率的に報酬を得たいと考える事業所の中には、支援しやすい障がいや症状を選ぶ実態があるのです。
”支援しやすさを重視する事業所”には「条件に合っているのに断られた」なんてことも。
支援しやすい障がい者しか受け入れないのも「ひどい」と言われる理由の一つです。
質の高い就労移行支援には特徴がある
就労移行支援が「ひどい」と言われる理由を紹介してきました。
なんだかなぁ、現実ってやつは……
ただ、全ての事業所がひどいわけではなく、中には質の高い支援を行う就労移行支援もあります。
ここでは質の高い就労移行支援の特徴をご紹介します。
特徴を知って、事業所を選ぶときのチェックポイントにしてくださいね。
支援と運営のバランスがよい
支援と運営のバランスがとれている事業所は質の高いサポートで報酬をきちんと得ているため、不公平ではありません。
報酬といった収益に傾く就労移行支援は、とにかく通所させ就職させるのに注力します。
一方で、個々の段階に合ったプログラムや専門性の高い支援員、利用者の将来をしっかりと考えた就職支援。
それが、時間はかかっても結果的に利用者の職場定着率が上がり、事業所としての報酬も獲得できるのです。
プログラム内容や支援員の対応、事業所の雰囲気は見学とかでちゃんと見ておく必要があるね
障がい者への専門知識や理解が深い
質の高い就労移行支援は、障がい者に対する専門知識や理解が深いため、適切な支援や信頼関係を気付くことができます。
就労移行支援の支援員になるために”特別な資格は必要ない”ことを上述しました。
質の高い就労移行支援には障がい者への専門知識や理解が深いスタッフが在籍していることが多いです。
支援員の資格の有無も質を見極める大事なポイント。
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 介護福祉士
- ジョブコーチ
- キャリアコンサルタント
上記のような資格をもっている支援員は専門知識も深く、支援に対して熱意をもっています。
支援員の熱心な指導のおかげで「新しい自分に気づけた」という人も。
minno
履歴書作成で新しいことに気づけてよかった
支援員さんに見てもらうと自分一人では気づけないことに視点がいくのよね
また、”やりたいこと”を否定せず、尊重してくれる支援員も信頼関係が築きやすいですよね。
わく
やりたいことを応援してくれる事業所がある
スキルとかマナーも大切だけど、何より自分に寄り添ってくれるのが一番心強いね
自然と適切な対応をしてくれたり、使える制度やキャリアについて真剣に考えてくれるでしょう。
交通費や昼食を支給してくれる
事業所によっては交通費や昼食を提供することで、金銭的負担を減らしてくれることもあります。
就労移行支援は労働ではなく訓練扱いのため、工賃や報酬は発生しません。
就労継続支援A型・B型だ給与や工賃がもらえるんですけどね
事業所に通うにも交通費や昼食は必要で、毎日の通所になると金銭的な負担も大きくなります。
交通費や昼食の支給があると、通所が継続しやすくなるのです。
交通費や昼食を支給する余裕があることは”運営に余裕がある”とも言え、質の高い事業所を見分けるポイントになります。
地域活動にも積極的に参加
ボランティアといった地域活動に積極的に参加する事業所は、報酬だけが目的ではない質の高い事業所の可能性が高いです。
就労移行支援の事業のみならず、地域活動に積極的に参加してる事業所は質が高い傾向にあります。
報酬だけが目的だったらボランティアとかには一切興味なさそう
「地域に貢献したい」という事業所は支援の際も熱意が強いもの。
お金儲けだけではなく「利用者に貢献したい」という想いは支援のあり方に反映されるのです。
就労移行支援の内容だけではなく、他に取り組んでいることを見ると事業所の質を判断しやすくなります。
ひどい就労移行支援を選ばないポイント5つ
全国で数多く運営されている就労移行支援。
その中でも大手と呼ばれるのが次の就労移行支援です。
事業所名 | 対象地域 | 特徴 |
LITALICOワークス | 全国 | ・就職から定着支援まで丁寧なサービス ・ハローワークなどの公的機関と連携 ・全国4,500社以上でインターンが可能 |
atGP(アットジーピー)ジョブトレ | 関東・関西 | ・障がいごとに特化したコースを用意 ・就職後6ヶ月定着率91%(2019年度) ・事業所の雰囲気の良さに定評あり |
ミラトレ | 関東・関西 | ・就職率が98%と圧倒的 ・転職サービスの『dodaチャレンジ』と連携 ・専門資格をもつスタッフが多い |
ウェルビー | 全国 | ・事業所の全国展開で地域を選ばない ・実務で必要なスキルを中心に訓練できる ・地元の企業で就労体験が可能 |
ココルポート | 関東 | ・首都圏での就職に特に強い ・個別支援で特性に合ったサポートが受けられる ・訓練内容が555種類以上と豊富 |
でもいざ選ぶとなるとどういう基準で選べば良いのか悩むわよね
ここでは何を基準に就労移行支援を選べばいいのか、ポイントを5つに分けて紹介します。
事業所に関する情報を収集する
地域にある事業所や利用を検討している事業所の情報を収集することで、ある程度プログラムの内容や自分への適性を知ることができます。
事前に情報を知るだけでも選ぶ基準がうまれるよね
収集する情報は次の4つをおさえましょう。
就職者数・職場定着率
ホームページ等で就職者数や職場定着率をチェックすることで、支援の質を知る参考になります。
事業所によっては前年度や通算の就職者数や職場定着率を公表しています。
就職者数もそうですが、特に”就職後定着率”には注目しましょう。
”就職後定着率”は大概就職後6ヶ月後の定着率で算出されます。
「就職はしたけどすぐにやめてしまった」という人が多いと事業所での支援やアフターフォローの質が低い可能性も。
上の図だど定着率が年々上がってきてるね
9割以上の人が6ヶ月継続できてるのは支援にも安心感があるよ
そもそも実績が出ていない事業所では具体的な数字を明記していません。
”就職者数や就職後定着率を公表している””定着率が高い”などは事業所の質を見分けるポイントになります。
訓練や支援の内容
ホームページや相談支援事業所で就労移行支援の訓練や支援内容を知ることで、自分が目指していることと合っているか検討することができます。
就労移行支援のホームページを見ると、訓練や支援の内容を掲載している事業所が多くあります。
後述する”自分の希望を明確にしておく”とあわせることで、訓練や支援の内容が合っているのか検討することができます。
希望と訓練内容が合っているとモチベーションも上がりやすくなるでしょう。
夕霧🍀@混乱中
新しいスキルが身につくのが楽しい
新しい知識やスキルが身につくと「進んでる」っていう充実感があるよね
ホームページに支援内容が載っていない場合は、直接事業所に問い合わせてみる、相談支援事業所から情報を収集するといったこともおすすめです。
利用する前にイメージと実際のギャップはできるだけ埋めたいね
立地的に通いやすいか
継続して通所するためには事業所が立地的に通いやすい場所にあるかも重要です。時間やお金がかかりすぎると継続した通所が難しくなる場合も。
事業所は頻繁に通う場所で、慣れてきたら毎日通所することも考えられます。
事業所が距離的、金銭的に通いやすい場所にあると通所の負担が減ります。
事業所によっては交通費が支給されないこともあるのよね
利用を始める前に経路を調べる、実際に通所体験をして所要時間や交通費を確認しましょう。
1度実際に経路をたどってみることで、どう感じるのか自分への負担も確かめることができます。
口コミ・評判
事業所の評判や口コミを参考にすることで、事前にメリットやデメリット、雰囲気といったものを知れます。ただし鵜呑みにはしないこと。
口コミや評判を事前に知っておくのも利用を判断する上で大切です。
特に大事にしたいのは”リアルな口コミや評判”です。
事業所のホームページだといい口コミしか書いてないのよね
- Google検索やGoogleマップの評価
- 通所している(していた)知り合いに話しを聴く
上記のような方法でリアルな口コミや評判をある程度知ることができるでしょう。
例えば次のような口コミで訓練の内容や雰囲気を感じることができます。
minno
コミュニケーションワークでみんなで協力できて楽しかった
「一緒に作業して楽しい」って思えると仕事への意欲も高まるのよね
ただ、注意すべきは情報を”鵜呑みにしないこと”。
感じ方は人それぞれです。
悪い口コミや評判を目にしたとしても、実際に見学や体験をしたらマッチする可能性もあります。
最後は自分で確かめて納得できるかどうかが大切だね
得意と不得意を知っておく
自分の”得意と不得意”や”特性”を知っておくことで事業所選びや就職の方向性を考えやすくなります。
就労移行支援によって訓練や支援の内容は様々です。
”障がいや病気の特性””得意や不得意”を知っておくと、自分に合った事業所を選ぶ、プログラムを組むといったことがしやすくなります。
事業所によってはその人に合ったプログラムを組んでくれることもあるよ
自分のことを知っていれば、力を入れるべきプログラム、訓練を継続できる時間といったことを相談しやすくなります。
「自分の得意や不得意がまだわからない」という人はプログラムを通して明らかにするのもいいでしょう。
しーくん
プログラムを通して障害特性への理解が深まった
仕事を継続していくためには自分の障害特性を知っておくことは大切ね
就労移行支援をより効果的に使うためにすごく大切なことね
また、プログラムが単一で選択肢がない事業所はそもそも選択肢から外せるでしょう。
見学や体験で現場の雰囲気をつかむ
見学や体験をすることで実際の雰囲気や訓練の内容、スタッフの対応などを知ることができ、より現実的に利用を検討できます。
見学や体験の受け入れを行っている就労移行支援がほとんどです。
利用の前に見学や体験をするのを強くおすすめします。
ネットや電話での情報だけではどうしても感じられない部分があるからです。
雰囲気やスタッフの対応なんかは結局”自分がどう感じるか”ですからね
スタッフだけではなく、利用者同士の雰囲気も見ておきましょう。
他の利用者とトラブルになって通所しなくなるというケースもあるためです。
野球垢
他の利用者の言動に腹が立つ
色んな特性の人が集まる場だから気になっちゃう人もいるよね
見学や体験の際に訓練内容や雰囲気、スタッフについて情報収集するのはもちろんですが、可能であれば事業所の実績も聞いてみましょう。
就職した人数や職場定着率、就職先企業などの実績は事業所の質を見極める判断材料となります。
自分の希望を明確にしておく
就労移行支援に通所する前に”自分の希望”を明確にしておくことで、必要な訓練や支援を主体的に考えられるようになります。
通所前に”自分の希望”や”通所の目的”を明確にしておきましょう。
希望や目的があるから、「事業所が合う/合わない」の判断をすることができます。
また、訓練内容や支援に対する希望を相談しやすくなるでしょう。
例えば、通所前に次のようなことを考えてみてください。
- 今本当に「働きたい」と感じているか
- 就職のために身につけるべきことは何か(生活リズムやコミュニケーション、ビジネススキルなど)
- 病気や障害の特性
- 就職したい会社・職種
- 希望の雇用形態は”一般雇用”か”障がい者雇用”か
- 希望の就労日数や時間
自分の希望がはっきりしていれば、事業所が合っているか、どんな相談をしたらいいか考えやすいね
大手の事業所をメインで探す
大手の事業所は”支援実績が豊富””スタッフの質が高い””就職先の幅が広い”といったメリットがあります。
大手の事業所に絞って探すのも質の高い就労移行支援を選ぶための方法です。
大手の事業所は利用者も多く、その分ノウハウを積み重ねたスタッフが多い傾向にあります。
企業との繋がりも多く、小さな事業所ではなかなか就職できないような大手への就職実績があることも。
通所できる範囲にあれば、色んな面で大手事業所はおすすめです
ちなみに大手でおすすめの就労移行支援は上述しています。
お住まいから通所できる範囲に事業所がないか、ぜひ情報収集してみてくださいね。
就労移行支援のよくある質問と回答
まとめ
今回は、
- 就労移行支援がどうして「ひどい」って言われることがあるの?
- 就労移行支援の実態を知りたい
- 良い就労移行支援を選ぶポイントを教えて欲しい
といった方に向けて、就労移行支援が「ひどい」と言われる理由と質の良い事業所の選び方をご紹介しました。
記事のポイントは次の通りでした。
- ”収益を重視””訓練内容が合わない”といった理由で就労移行支援は「ひどい」と言われる
- 質の高い事業所には”支援と運営のバランスがよい”といった特徴がある
- 質の高い事業所を選ぶために”情報収集”や”見学や体験”といった工夫が必要
質の高い就労移行支援を選ぶことで、就職や職場定着にグッと近づきます。
「ひどい」就労移行支援は避け、仕事はもちろんあなたの希望する未来を叶えていってくださいね。
ご意見をお寄せいただけると幸いです