就職したいから就労移行支援を利用してみたいけど、やめとけという話をよく聞くなぁ・・・
確かに場所によっては悪いところもあるけれど、就労移行支援にはいいところもあるから一緒に調べてみよう!
就労移行支援とは障害者や病気を持っている人への就労支援サービスのひとつです。
ところが、「就労移行支援はやめといたほうがいいよ」という話やネットの情報をみて、就労移行支援は本当に利用して大丈夫か、不安になりますよね。
本記事は就労移行支援はやめとけと言われている代表的な例を解説しつつ、就労移行支援の解説や実際に1年間私が就労移行支援に通った体験談について紹介します。
- 就労移行支援の利用を検討しているけど、悪い情報ばかり見て意味がないと疑っている
- 早く仕事をしないといけないと焦っている
就労移行支援はやめとけと言われる闇3選
「就労移行支援をやめとけ」という口コミはどういったものがあるのでしょうか?
本記事では事例を3つ紹介します。
授業とスタッフのレベルが低い、受けたいものがマッチしない
講習会を通した資格取得で就労移行支援を利用するより就職活動の効率がいいかもしれない、という考えは人によってはありでしょう。
就労移行支援の利用がちょうどいい人もいれば、資格取得の講習会に通う方がちょうどいい人もいます。
就労移行支援でレベルの高いプログラミングが受けられると期待して利用したのに、実際はレベルが低かったのはとてもがっかりですね。
社会人経験者や志を持って就職を目指そうと思っている人にとって、確かに就労移行支援のレベルが低かったり受けたいものがないと感じたりします。
そして、就職活動(面接の練習や応募書類の添削などの支援を除く)やキャリアアップの支援をしているところは少数派です。
そのため自分から就職活動や就労移行支援以外のところでキャリアアップを進めることが必要です。
- 事業所に行って見学と授業の内容を確認することでレベルのミスマッチを防げる
- 自分の目で確かめ、直接スタッフや利用者と関わることで就労移行支援を利用するかを検討可能
就労移行支援だけでは足りない部分については自分から進んで就労移行支援以外のサービスを利用してみませんか?
有料の転職支援サービスや転職エージェントを利用するのもいいでしょう。
ハローワークに行くと一般向けを中心にキャリアアップのサービス(わかものハローワークやキャリアアップハローワークなど)を紹介してくれるので、併用しながら就労移行支援を利用してみてはどうでしょうか?
アルバイトNGで生活ができない?
アルバイト禁止について、特例ケースがあるようですが、そのケースは私は聞いたことがないです。
国や自治体が実施する給付金や貸付金制度の利用も検討するのもありでしょう。
どうしても就労移行支援を利用しながらの生活が難しい場合、資産状況次第ですが生活保護を受けることが望ましいです。
就労移行支援は原則、アルバイトはできません、なぜならアルバイトでも就労できているとみなされるからです。
そのため、あらかじめ蓄えた貯金を使ったり、障害年金を受給したりして生活のやりくりをする必要があります。
ただし、今は就労はしていないけど就労をしたいという意志があるとして認められ、生活保護の受給が認められやすいです。
障害者福祉窓口に行って生活保護と就労移行支援の併用について相談されてみてはどうでしょうか?
ブラック企業ならぬブラック就労移行支援の存在
これは論外で、もはや犯罪です。
利用者の心の傷は深いでしょう。
就労移行支援の利用者は18歳以上の方ばかりです。
なのにスタッフから子ども扱いをされるのは利用者からみれば大人としてみてくれない悔しさがあるかもしれません。
就労移行支援事業所では残念ながらブラック企業ならぬブラック就労移行支援事業が存在します。
- 自分の障害や病気に配慮のない言動がある
- 支援員のお仕事が忙しくてなかなか相談に乗ってくれない
- 支援員が利用者を子ども扱いする
- 支援員や利用者から暴力行為がある
- 利用者間のセクハラやいじめを放置している
上記に限らず、様々なブラック就労移行支援に当たってしまい、より自分の病気や障害が悪化し、通所するのが怖くなる人がいます。
この場合は就労移行支援を利用する前に見学して気づけばいいのですが、入ってから気づいた、なんてことも。
事業所の中の人を変えようと行政の障害者福祉窓口に相談するのもいいのですが、時間がかかる上、相手が変わることは難しいです。
なので、感情を抑えて、なるべく早めに利用していた就労移行支援をやめることをおすすめします。
まずは自分の身の安全・安心の確保が最優先です。
そもそも就労移行支援とは?
ところで、就労移行支援事業所というのは一体どういう場所でしょうか?
就労継続支援と職業訓練の比較を入れて紹介します。
就労移行支援の概要
就労等への移行に向けて、事業所内や企業における作. 業や実習、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のた. めの支援等を実施する施設。
引用元:厚生労働省-就労移行支援について
就労移行支援とは障害者や病気のある方の安定した就労を目指し、利用者のビジネスキルを基礎から学びながら就職活動の支援を受ける福祉サービスの一つです。
一度も働いたことがない人や障害や病気で退職したけれど再就職したい人も利用することができ、就労した後もジョブコーチとして利用することもできます。
就労移行支援と就労継続支援との違い
障害者向けの就労関係のサービスで主に就労移行支援と就労継続支援の2つが存在します。
就労移行支援 | 就労継続支援 | |
---|---|---|
目的 | 障害者の一般企業への就職をするために必要なスキル習得を支援 | 障害者の就労や生産活動に関わる機会を提供 |
対象 | 一般企業への就職を目指す方 | 一般企業への就職が難しい方 |
内容 | 仕事に必要なスキルの習得 | 仕事をこなす |
お金がもらえる? | もらえない | 賃金・工賃がもらえる |
利用期間 | 原則2年間 | 定めなし |
さらに、就労継続支援をA型とB型に分けた表も載せます。
就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | |
---|---|---|---|
報酬 | (賃金) | (工賃) | |
雇用契約 | |||
講習 | (事業所による) | (事業所による) | |
仕事 | |||
年齢制限 | あり (65歳未満) | あり (65歳未満) | なし |
利用期間 | あり (原則2年間) | なし | なし |
就労移行支援と職業訓練の違い
就労移行支援とは別にハローワークが提供している職業訓練です。
職業訓練では障害者向けの訓練も提供されており、職業訓練校に通うという選択肢が存在します。
就労移行支援 | 職業訓練 | |
---|---|---|
目的 | 障害者の一般企業への就職をするために必要なスキル習得を支援 | 全ての就職したい方への就職に向けた専門的な知識や技術を取得 |
対象 | 一般企業への就職を目指す障害者 | 就職を目指す原則全ての方 |
内容 | 仕事や就職に必要なスキルの習得 | 特定の就職に必要な専門的な知識・技術を取得 |
お金がもらえる? | もらえない | 職業訓練受講給付金が支給される(毎月10万円、条件あり) |
利用期間 | 原則2年間 | コースによる(1ヶ月〜2年) |
障害者への配慮 | あり(例:個人の体調に合わせた通所日数の調整) | 基本なし(例:週5回必ず通所) ただし障害者専門の職業訓練のコースがある |
就活だけじゃない!就労移行支援のメリット
たしかに就労移行支援は障害者の就職活動の支援しています。
しかし、実は就職活動以外にもメリットがあるので、こちらも紹介します。
通所で生活リズムが整う
就労移行支援では毎日の通所が求められます。そのため、定期的に就労移行支援への通所によって生活リズムが整いやすくなります。
就労移行支援では生活指導員のスタッフも在籍し、最初から毎日通所をするわけではなく週に1回から、午後からの通所から始めることもできます。
なので、無理のない通所や生活リズムの相談を受けられます。
コミュニケーションの練習ができる
就労移行支援では面接対策はもちろん、SST(ソーシャルスキル・トレーニング)を受けてコミュニケーションの勉強を受けられます。
例えばコミュニケーションにおいて残業の断り方や迷惑にならない質問の仕方、仕事の手伝いのお願いの方法などをSSTが学べます。
息抜きイベントがある
就労移行支援によっては息抜きのイベントとしてゲーム大会や外に出ての食事会、カラオケなどをします。
利用者やスタッフ同じ就労を目指す利用者もいるので、仲良くなって就労に向けて頑張ろうという気持ちになるのでいい息抜きです。
交通費や給食の支給がある場所も
就労移行支援はあくまで就労を支援するサービスなので給料はないです。
ただし、交通費の支給や昼食のお弁当がもらえる給食のサービスを受けられます。
昼食をとれるようにして食生活を整え、交通費を受給することで利用者の金銭面の負担の軽減につながります。
職場の見学や実習、ジョブコーチをやってくれる場所も
学校だけだと思われていた職場の見学や実習を就労移行支援でやっています。
特に就労経験のない利用者を実際の会社やお店に行って見学し、仕事を体験させることで、職場で働くとはどういうことかが理解できます。
また、就労できた後も実際の会社やお店で働いて不安やとまどい、就労移行支援で習った内容がうまくいかない時があるでしょう。
その場合、ジョブコーチを利用することで就労移行支援のスタッフが実際に会社やお店に行って利用者と会社・お店の人とお仕事の仕方やコミュニケーションなどの相談に対応します。
就労移行支援をうまく利用するために
就労移行支援をうまく利用するためにはどうしたらいいか、ヒントを紹介します。
就労移行支援の選び方
就労移行支援の選び方についてはネットで調べたらたくさん出ます。この中で私が特に大切だと思う選び方を1つ紹介します。
それは「あなたが受けたい、あるいは必要なサポートがあるか」です。
例えばせっかくプログラミングを学びたくて就労移行支援を利用したのに実際に入ったら事務仕事向けの授業ばかりだった、だとイヤですね。
パソコンを触ったことがないけれどプログラミングを学びたいと考えて最初からプログラミングの授業を受けてもついてこられないですね。
このように、あなたが受けたいサポート、あるいは必要としているサポートを受けられるかどうか、就労移行支援を選ぶ際には重要なポイントです。
行きたい就労移行支援があるけれど受けたい授業がない場合は、自分から本を読んだりセミナーを受けたりして独学することをおすすめします。
就労移行支援を使いながら生活するために
就労移行支援を利用している間は、給料は出ません。
なので、障害年金や生活保護の受給や自分の貯金を切り崩して生活する人が多いです。
ただし、早く就職したいからといって焦りは禁物です。
就労移行支援のスタッフだけでなく通院している病院の主治医やカウンセラーと相談して、落ち着いて計画を立ててください。
就労移行支援を1年間利用した体験談
私は過去に1年間、就労移行支援を利用したことがあります。
ここでは私の経験談についてお話します。
就労移行支援に出会った経緯
私は就活をしないまま大学を卒業し、公務員になるための勉強をしていました。
ところが、後に発達障害の診断がくだされ、働く自信がなくなったので公務員をあきらめました。
もし就職したいけれど、障害を診断された直後ならきっと不安になるでしょう。
そんな中、若者サポートステーションで初めて相談した際に就労移行支援の提案があり、さっそく事業所を探してきました。
私は表計算のエクセルが苦手だったのでパソコンスキルを学べるある就労移行支援を利用すると決心しました。
就労移行支援でなにをしたのか
当時の私は生活リズムが乱れていて夜更かしが多かったです。
就労移行支援を利用し始めた最初は午後からの通所から初めて毎日通所を目指し、定期的に通うことを頑張ってきました。
次第に午前中への通所も始まり、夜型の生活スタイルが朝型に変わり、生活リズムがととのうようになりました。
3ヶ月間、就労移行支援に通うことでエクセルの関数や効率のいい計算と入力を理解することができるようになり、エクセルに対する自信がつきました。
就労移行支援では様々な障害者がおり、交流を深めることができます。
たまにイベントが開催され、就労移行支援のスタッフや利用者と一緒にカラオケ大会やトランプゲームをして遊びました。
意外かも入れませんが、月に一回、無料の散髪をしてくれましたよ
ホントに!?闇深いところばかりかと思ってたけど楽しくてユニークな就労移行支援なのですね!
就職活動の結果とその後
エクセルの勉強をして遊んでばかりではありません。
毎日求人を探し、スタッフにお願いして応募書類の添削や面接対策を受け、就職活動の面接を受けてきました。
時には就労移行支援のみんなで障害者向けの就職活動のイベントに参加し、会社の見学や面接の相談を受けました。
就職活動を1年間続けた結果、残念ながら私は採用されませんでした。
そんなぁ!!
当時の私は正社員の障害者雇用にこだわって就職活動をしていました。
しかし正社員の障害者雇用はハードルと競争が高く、応募書類で落とされるのは日常茶飯事、やっと面接まで行けたとしても不採用の連絡が来ました。
その後、就職の条件を正社員以外のパートやアルバイトを含めた非正規雇用に範囲を広げました。
のちに就労継続支援A型(以下、A型事業所)のフルーツパーラーの求人を見てその求人に応募、採用されたので1年間通っていた就労移行支援を去りました。
就職ができなかったら就労移行支援を利用した意味がないじゃない!
いいえ、A型事業所やフリーランスの仕事でも役に立ちましたし、他の人で実際に就職できた人もいましたよ。
私が通っていた就労移行支援の利用者では、ファッション店やホームページ制作の会社に就職できた人がいました。
就労まではできず、A型事業所に行く人もいました。しかし、ビジネスのスキルを身についているので最初からA型事業所に行くより仕事やコミュニケーションがうまくいきやすかったです。
就労移行支援は、みなさんが不安になるような意味ない場所や闇深い場所ばかりではありません。
私は就労移行支援に通った1年間は今でも感謝しています。
まとめ
「就労移行支援は意味がない」という話をよく聞きます。
しかし、就労移行支援は、特に就労経験が全くない人にとってはむしろ意味があり、就労したい方はぜひ利用してほしいです。
就労移行支援を利用したからといって必ずしも就職ができるとは限りません。
しかし、たとえA型事業所に移ったり、体調を崩してやめたりしても就労移行支援で学んだスキルや経験はムダにならず、むしろ役に立つ時がきます。
それでも就労移行支援を利用しようか迷っていたら、ハローワークや障害者特化の転職エージェントでもいいのでぜひ一度は相談し、就労移行支援の見学に行ってみてはいかがでしょうか?
みなさんが就労移行支援を通して就職し、あるいはスキルや経験を積み上げて就職以外でも活躍することを祈っています。
ご意見をお寄せいただけると幸いです